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2024年、ブランド保護のために押さえておきたい10のトレンド

消費トレンドの変化を踏まえ、グローバルECプラットフォームの動向から欧州・米国・中国の法改正まで、2024年の主要トレンドを解説します。グローバル市場と韓国市場でのブランドの知財侵害対策にお役立てください。

Irene Lee4分で読めます
目次14
  1. グローバルECプラットフォーム:TikTok Shop、Temu、SHEIN、AliExpress
  2. トレンド1:グローバル市場に欠かせないECプラットフォーム、TikTok Shop
  3. トレンド2:Z世代に愛され、「テムカン(Temu開封)」ブームを生んだTemu
  4. トレンド3:ファストファッションの先駆者、SHEIN
  5. トレンド4:韓国市場で事業を本格化するAliExpress
  6. 最新の技術トレンド:ライブショッピング、クローキング、ディープフェイク
  7. トレンド5:すべてがリアルタイムで進むライブコマース
  8. トレンド6:悪質な出品者の正体を隠す技術、クローキング(Cloaking)
  9. トレンド7:ディープフェイク技術、もう何も信じられない
  10. ブランドと消費者を守るために改正された欧州・米国・中国の法律
  11. トレンド8:EUのデジタルサービス法(DSA: Digital Services Act)
  12. トレンド9:米国のSHOP SAFE法(Shop Safe Act)
  13. トレンド10:改正中国商標法
  14. 知的財産権侵害からブランドと消費者を守る方法

Temu、AliExpress、TikTok Shop、SHEINの登場で、グローバルなECプラットフォームとマーケットプレイスの市場は大きく揺れ動いています。各プラットフォームのブランド知財保護ポリシーと、ブランドや消費者を欺くために悪質な出品者が使う新しい手口を確認しましょう。あわせて、欧州・米国・中国の法改正がブランドと消費者をどう守るのかも紹介します。

オンラインブランド保護(OBP: Online Brand Protection)に必要なインサイト集 #ECプラットフォーム #最新技術 #法改正

消費トレンドが毎年変わるように、ブランドの知的財産権(IP)を守るにも新しい戦略が必要です。本記事では、2024年のブランド保護に必要なインサイトを共有し、知財侵害を防ぐためにどのECプラットフォームを監視すべきか、そして悪質な出品者の手口がどう変わったかを見ていきます。

グローバルECプラットフォーム:TikTok Shop、Temu、SHEIN、AliExpress

トレンド1:グローバル市場に欠かせないECプラットフォーム、TikTok Shop

1分に満たないショート動画のSNSアプリとして始まったTikTokは、EC機能を拡大してTikTok Shopを運営しています。以前、2024年に注目すべきECプラットフォームを取り上げた記事では、模倣品の出品者がTikTokを使って模倣品を宣伝する手口を紹介しました(記事を読む)。韓国ではまだTikTok Shopはローンチされていませんが、グローバル市場ではTikTok Shopは選択肢ではなく必須です。

TikTok Shop

TikTok Shopでは、出品者が10億人を超えるユーザーと直接コミュニケーションでき、どのプラットフォームよりも速く消費者に届きます。SNS機能とEC機能を組み合わせたこの独自のプラットフォームは、ブランドが効果的に宣伝・広告を行い、消費者と対話する窓口としても活用されてきました。しかしユーザー数が多いぶん動画は手がつけられないほどの速さで拡散し、ブランドの人気商品を無断で製造した模倣品の出品者を監視するのは難しくなります。ECプラットフォームとユーザーの特性に合わせた、模倣品の検知と権利行使のための専門的な戦略が必要です。

トレンド2:Z世代に愛され、「テムカン(Temu開封)」ブームを生んだTemu

Temuは中国で設立されたECプラットフォームで、2024年から韓国での存在感を本格的に高めています。韓国では中国製の商品を直接購入できるプラットフォームとして展開しています。超低価格戦略で短期間に多くのユーザーを集め、現在の韓国の利用者数は40%急増して829万6,000人に達し、AliExpressの韓国利用者数にほぼ追いつきました。

Temuの超低価格戦略では最も安い商品が検索結果の上位に表示されるため、模倣品が広がらざるを得ない環境が生まれます。正規品は製品開発費などを含めて価格が設定されていますが、模倣品はブランドのアイデアを盗んで作るため、低価格で販売できるのです。

Temuのビジネス戦略はブランドの知的財産権侵害について多くの懸念を生んでいますが、最も注意すべきなのは、1)低価格の模倣品によって正規品の価値が下がらないようにすること、2)ブランドイメージを損ない消費者を混乱させかねない模倣品の出品を継続的に監視することです。

価格だけで勝負するTemuのポリシーは模倣品出品者の温床となっており、ブランドの知的財産を守り侵害を防ぐには、慎重かつ積極的な対応が必要です。

トレンド3:ファストファッションの先駆者、SHEIN

SHEINは中国発のファッションECプラットフォームで、グローバル市場で急成長しました。現在は自社ファッションブランドだけでなく他社も出店できるようになり、オンラインマーケットプレイスとしても事業を広げています。

SHEINのデザイン盗用問題

SHEINは常に論争の中心にあり、とりわけファッション業界で最も敏感なデザイン盗用から知的財産権をめぐる紛争まで、たびたび問題になってきました。ユニクロ、ドクターマーチン、リーバイス、ラルフローレンなどがSHEINを相手に知財侵害で訴訟を起こしており、SHEINは今年もこうした前例を重ねるとみられます。

こうした知財侵害の事例のように、ブランドの知的財産権侵害に対する姿勢が変わらなければ、2024年の模倣品の拡散にも影響すると予想されます。

トレンド4:韓国市場で事業を本格化するAliExpress

AliExpressは韓国市場で積極的なマーケティングを展開し、本格的に足場を固めています。Temuと同様に価格競争力を武器に多くの新規ユーザーを獲得しており、現在AliExpressのアプリをインストールした消費者は115万8,575人にのぼります。消費者とブランドはそれぞれ異なる目的でこのプラットフォームを利用しました。消費者は、Coupangやネイバーストアなど国内の大手マーケットプレイスより半額から最大70%安く購入できることからAliExpressを選び、ブランドは多くのユーザーに製品を宣伝し購入してもらうために出店を始めました。

公式企業アカウントの登場と同時に浮上したのが、模倣品の販売と詐欺被害です。検索結果の上位には安い商品が先に表示されるため、正規品ではなく模倣品の結果が多く表示され、そのまま販売されてしまいます。こうした問題を受けてAliExpressは模倣品の通報を積極的に受け付けており、模倣品が見つかれば100%返金するなど、積極的な通報を促すポリシーを打ち出しています。

しかし、商品を検索したときに上位に表示されなくなっただけで、模倣品の販売は今もプラットフォーム内で続いています。消費者とブランドの価値を守るには、模倣品の販売を継続的に監視し、権利行使を続ける必要があります。

最新の技術トレンド:ライブショッピング、クローキング、ディープフェイク

トレンド5:すべてがリアルタイムで進むライブコマース

ライブコマース(Coupangの例)

ライブコマースは、ライブ配信で商品を宣伝し、その場で購入してもらう販売方式です。韓国ではCoupang、ネイバー、MUSINSAなど多くのマーケットプレイスで活用されており、インフルエンサーが実際の商品を見せながら機能や使い方を説明するため、店舗での買い物に近い体験を提供します。

しかしブランドにとっては、新たに解決すべき課題でもあります。ライブコマースは誰でも簡単にアカウントを作成でき、配信が終わると動画を見返せないため追跡が困難です。この特徴を悪用し、模倣品業者はライブコマースで模倣品を素早く宣伝・販売しています。

技術の進歩によって消費者に商品をリアルタイムで見せられるようになった一方、企業にとってはブランドの知的財産権侵害を防ぎ、監視することがさらに複雑になっています。

トレンド6:悪質な出品者の正体を隠す技術、クローキング(Cloaking)

悪質な出品者はクローキング技術を使い、企業が監視に使うデスクトップやノートPCには合法的な商品を表示する一方、モバイルユーザーには模倣品を表示します。消費者と企業では使う端末も行動パターンも異なることを熟知したうえでの戦略です。

こうした巧妙な手口を可能にしているのがクローキング技術です。クローキングとは、人と検索エンジンに異なるコンテンツやURLを見せて正体を隠す技術です。特に、検索エンジンが検索結果を作る際に使うインデックス登録を意図的に妨げ、ユーザーが検索結果でそのウェブサイトを見られないようにします。模倣品の出品者はこの技術を使って検知を逃れ、申請された出品がプラットフォームから削除されないようにしています。

さまざまなプラットフォームでブランドを欺き消費者をだます悪質な出品者を検知し、自社ブランドの知的財産権を守る方法が重要です。悪質な出品者が高度な技術を使うのと同じように、企業もどのプラットフォームでもブランドの知的財産権侵害を検知し、権利行使できるソリューションを使う必要があります。

トレンド7:ディープフェイク技術、もう何も信じられない

AI技術の進化により、現実には存在しない写真や動画を作れるようになりました。ディープフェイク技術は、ブランドの知的財産権保護における新たな懸念事項として浮上しています。

2〜3年前、ディープフェイクは有名俳優や歌手、政治家などの著名人を模倣できる技術として注目を集めました。しかし最近では著名人だけでなく企業にも広がり、企業のCEOやインフルエンサーの姿を驚くほど正確に複製できるようになっています。

すでに多くの企業が、ディープフェイク技術を使ったコンテンツによってブランドイメージに大きな影響を受けています。特に、ブランドに好印象を持つ消費者をフィッシング詐欺の標的にして模倣品の販売ページへ誘導したり、ブランドイメージに大きな打撃を与える虚偽情報を流したりする事例が頻発しています。韓国では金融関連の詐欺にもつながっており、有名人や企業幹部になりすまして暗号資産投資の「リーディングルーム」に誘導するなど、被害は深刻です。

企業にとっては、ディープフェイクを見分けるだけでなく、ブランドイメージと企業の信頼性を守り、対応する戦略を立てることが重要です。この戦略によって、ブランドの知的財産権を守ると同時に消費者の被害も減らせます。

ブランドと消費者を守るために改正された欧州・米国・中国の法律

トレンド8:EUのデジタルサービス法(DSA: Digital Services Act)

デジタルサービス法(DSA: Digital Services Act)は、EUにおける知的財産権保護の観点から、オンラインサービスの規制のあり方を大きく変えました。主に知的財産権侵害を含む有害なオンライン活動を防ぐために制定されたこの法律により、デジタルプラットフォームには新たに厳しいルールが導入されました。

  • 知的財産権侵害を含む違法コンテンツを積極的に特定し対応する
  • 知的財産権侵害の申請手続きを簡素化する
  • 違法・有害コンテンツの管理方法と申請の処理方法を公開する
  • オンラインプラットフォーム上で知的財産権を侵害した出品者を追跡する

つまり、オンラインプラットフォーム事業者は、これまで以上に強化された知財保護ポリシーでコンテンツを管理し、知的財産権紛争の解決手続きを備えなければなりません。これらの要件を満たさないプラットフォームには、年間所得または売上高の最大6%の制裁が科される可能性があります。

企業の代表者や消費者は、デジタルサービス調整官(Digital Services Coordinators)を通じて、知的財産権侵害の審査や、侵害時の紛争に関する罰金・サービス停止などの支援を受けられます。

トレンド9:米国のSHOP SAFE法(Shop Safe Act)

米国のSHOP SAFE法案は、健康や安全に危険をもたらしうる模倣品の販売について、オンラインマーケットプレイスの責任を大きく変える可能性があります。

法案が成立すれば、SHOP SAFE法は出品者よりもマーケットプレイスに対して、より徹底した審査で知的財産権を侵害した商品を削除するよう求めることになります。ブランドはマーケットプレイスと緊密に連携し、SHOP SAFE法を順守しながら、消費者の安全を高め知的財産権を守れるようにする必要があります。

多少の問題やミスがあっても、SHOP SAFE法を守ろうと努力するマーケットプレイスには実質的な優遇措置があります。プラットフォームがミスを是正する仕組みを構築するよう促すもので、次の点を証明できれば免責を受けられます。

  • 模倣品の出品者と出品を審査・選別するために十分な努力をしたか
  • 模倣品の出品者に対する措置のポリシーを継続して実施したか
  • 消費者が模倣品を購入した際に、出品者に関するすべての情報を確認できる手続きを整えたか

SHOP SAFE法案は2023年のINFORM消費者法(INFORM Consumers Act)とともに初めて登場しました。施行されれば、米国での知的財産権保護はさらに強化される可能性があります。

💡用語解説

INFORM消費者法(INFORM Consumers Act)とは

マーケットプレイスでの模倣品や盗品などの販売を防ぐための米国連邦法で、透明なオンラインショッピング環境をつくるために、出品者から正確な身元情報を収集するものです。収集した情報が最新かを確認する義務があり、問題が起きた場合には悪質な出品者の身元を公開します。

トレンド10:改正中国商標法

中国商標法の改正案は、ブランドが中国で知的財産権を守る方法に非常に大きな影響を与えるとみられます。改正案は、商標権の侵害と濫用を効果的に防ぐことを目的としています。

中国商標法改正案の主な内容は次のとおりです。

  • 登録商標の使用義務を強化し、商標使用の誓約に関する要件を追加。5年ごとに使用証拠を提出
  • 著名商標の保護を強化するため、希釈化防止規定(Anti-dilution provision)を導入
  • 悪意のある商標登録と使用の禁止

💡用語解説

希釈化防止規定(Anti-dilution provision)とは

著名商標の所有者が、第三者による著名商標の商業的使用によって販売が減少した場合に、競合関係や混同のおそれの有無にかかわらず、その第三者に商標の使用禁止を求めることができる権利です。たとえば、ある人物が「サムスン」という商標を商業的に使用してサムスンの販売力が低下した場合、その人物に「サムスン」商標の使用禁止を求めることができます。

この改正案によって、中国は知的財産権保護の体制を強化しています。中国がこれまで海外の知的財産権を十分に尊重・保護してこなかったことを考えると、商標法改正はブランドにとって前向きな影響をもたらすと予想されます。今回の改正に含まれる商標希釈化の規定は一般に大企業の知的財産権を守るものですが、いずれはあらゆる規模のブランドに拡大される可能性があります。改正商標法によって商標の冒認出願が減り、既存の商標への尊重と保護が強まることで、中国の知的財産権をめぐる環境が改善されるかもしれません。

知的財産権侵害からブランドと消費者を守る方法

ここまでのトレンドからわかるように、模倣品の出品者はSNSとECプラットフォームを活用する戦略をとっています。特にECプラットフォームは誰でもアカウントを作成でき、グローバルなECプラットフォーム以外にも国内のECプラットフォームが数多く存在します。さまざまなチャネルを監視して権利行使し、模倣品の出品者ではなくブランドのオンライン売上を伸ばすことが、ブランド保護における重要なビジネス戦略になっています。

模倣品販売への対応の多くは、ECプラットフォームで出品を表示させないようにして販売を止めるものです。しかし悪質な出品者はすでに複数のIDや販売チャネルを運営しており、別のアカウントで同じ商品を販売できます。そのため、ECプラットフォームに模倣品を申請するだけでは非効率で、かえってブランドのリソースと時間を浪費しかねません。

MarqVisionが独自に開発したAI技術であるクラスタリングは、多数の出品者アカウントから得られる配送先住所、メールアドレス、商品詳細ページのキーワードパターンなどの情報の関連性を分析し、複数のプラットフォームに散らばった一人の悪質な出品者を特定します。さらに、これをもとに損害回復のための法的措置をとることもできます。悪質な出品者の模倣品製造工場の摘発や、資産の凍結・没収を進めることも可能です。ブランドの知的財産権侵害によって損なわれた価値を取り戻し、オンライン売上の向上も期待できます。

2024年もすでに半年が過ぎましたが、知的財産権の保護に遅すぎることはありません。特に海外のECプラットフォームが韓国市場への進出を本格化し、Kカルチャーがかつてないほど注目を集めている今こそ、自社ブランドの知財侵害を防ぐ方法を知り、保護戦略を立てるべきです。オンラインブランド保護はMarqVisionにお任せください。

執筆者

Irene Lee