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APEXとは:Amazon Patent Evaluation Expressを解説(2026年8月)

Amazonの特許保護プログラムAPEXの仕組みと費用、Houndsyの成功事例を紹介するガイドです(2026年8月)。

Ryan Williams4分で読めます
目次6
  1. AmazonのAPEXプログラムの仕組み
  2. APEXの流れ
  3. APEXを利用するメリット
  4. 2026年のAPEX:特許の間接侵害にも対象を拡大
  5. MarqVisionはAPEXでHoundsyの特許保護をどう主導したか
  6. よくある質問

CBPの2024会計年度のIPR押収統計によると、2024会計年度に米国税関・国境警備局が押収した模倣品は3,300万点近くにのぼり、推定MSRP(メーカー希望小売価格)で52億ドルを超えました。Amazonで販売する特許権者にとって、問題はさらに根深いものです。模倣品業者はブランド名やロゴには手を付けずに製品デザインをコピーするため、商標や著作権のツールは役に立たず、費用のかかる訴訟しか選択肢が残りません。AmazonのPatent Evaluation Express、通称APEXは、まさにこの状況のためにつくられました。何年もの訴訟を経ずに侵害ASINをすばやく削除できる、実用特許の権利者のための専用の権利行使手続きです。

APEXは、オンラインで知的財産権を行使するのに苦労してきた特許権者にとって、まさに救いの手です。このプログラムでは、ペット用給餌器を発明したHoundsyの事例のように、侵害者に対する重要な勝利がすでにいくつも生まれています。

APEXの仕組みと、Amazonで模倣品業者を止めたい創業者や知財弁護士にとって、なぜすでに欠かせない手段になっているのかを見ていきましょう。

要点

  • APEXでは、米国の実用特許の1つのクレームを、最大20件の侵害ASINに対して主張でき、認められればAmazonが約10営業日以内に出品を削除します。
  • 案件は30日未満で解決し、費用は勝った側に返金される$4,000の預託金です。従来の訴訟では約2年かかり、費用が数百万ドルに達することもあります。
  • 2026年初めから、APEXは間接侵害にも対応しています。特許を侵害する形で製品を組み立てたり使ったりするよう購入者を導く説明書を提供する出品者は、直接侵害する出品者と同じ法的基準で扱われます。
  • 模倣品業者がブランド名を使わずに製品デザインをコピーし、商標や著作権による権利行使が行き詰まったとき、その隙間を埋めるのが実用特許です。
  • MarqVisionは、Houndsyのために侵害出品を特定し、APEXが適切な権利行使の手段だと判断して、申請の手続き全体を管理しました。

AmazonのAPEXプログラムの仕組み

APEXでは、特許権者が、Amazon Standard Identification Number(ASIN)で特定した侵害の疑いのある製品について、米国の実用特許の1つのクレームにもとづく評価を求めることができます。

このプログラムは「極めて技術的」ではない特許を対象としており、複雑なクレームを持たない、わかりやすい製品に適しています。

APEXの流れ

  1. 開始:特許権者がAmazon Brand Registryを通じてAPEXへの参加を申請し、主張する特許のクレームや対象製品の一覧など、必要な情報を提出します。
  2. 出品者への通知:Amazonが対象製品の出品者に連絡し、APEXの手続きについて説明したうえで、参加するかどうかを決める期間として3週間を与えます。
  3. 評価者の割り当て:参加を選んだ出品者がいれば、中立の評価者、つまり関連分野の専門知識を持つ有資格の特許弁護士が案件に割り当てられます。
  4. 支払い:特許権者と参加する各出品者の双方が、Amazonに$4,000の預託金を支払います。勝った側は手続きの終了時に預託金が返金されるため、主張が認められた側の負担は実質ゼロです。
  5. 書面の提出:当事者が主張をまとめた書面を提出します。特許権者が最初の書面を提出し、出品者が反論し、特許権者は再反論を提出できます。これらの書面にはページ数と期限の決まりがあります。
  6. 判断:評価者が書面を確認し、対象製品が主張された特許のクレームを侵害している可能性のほうが高いかどうかを判断します。判断は通常、手続きの開始から7週間以内に下されますが、Amazon Brand Protection Reportによれば、ほとんどの案件は30日未満で解決しています。
  7. 執行:評価者が特許権者に有利な判断を下した場合、Amazonは通常10営業日以内に、侵害製品をマーケットプレイスから削除します。

APEXを利用するメリット

APEXは、Amazon.comで権利を行使したい特許権者に多くの利点をもたらします。

APEX従来の特許訴訟
解決までの期間約30日約2年
特許権者の費用$4,000の預託金(勝てば返金)数万ドルから数百万ドルの弁護士費用
判断する者中立の資格のある特許弁護士裁判官または陪審
範囲1件の申請につき特許のクレーム1つ、最大20件のASINクレームと製品の数に制限なし
執行Amazonが約10営業日以内に出品を削除裁判所の差し止め命令が必要
間接侵害対象(2026年から)対象

まず、このプログラムは迅速です。判断は通常30日以内に下され、何年もかかることの多い従来の訴訟(AIPLAのデータでは中央値で約2.5年)よりはるかに速く解決します。ほかのほとんどのチャネルでは、ブランドの削除にかかる期間はよくても数週間から数か月単位ですが、APEXはそれを数日に縮めます。特許侵害の案件がこれほど速く解決するのは異例で、これまでオンラインの知財侵害では、ほとんどのブランドが商標と著作権に絞って対応してきました。

費用対効果が非常に高いことも、正規のブランドにとっての利点です。預託金は勝った側に返金されるため、特に明らかなコピー品を相手にする場合、多くのブランドは実質無料のプログラムと考えるでしょう。

もうひとつのメリットは、手続きのシンプルさです。APEXは、一度に1つの特許クレームに絞り、最大20件の対象製品に対して使うように設計されています(Amazon Brand Registryのガイドラインによる)。長期化しやすく、企業を訴訟に追い込むこともある特許紛争につきものの複雑さや時間の負担を、大きく減らせます。

2026年のAPEX:特許の間接侵害にも対象を拡大

2026年初めの大きな変更によって、APEXでできることの範囲が広がりました。特許権者は、このプログラムで特許の間接侵害も追及できるようになりました。Amazonの出品者が自ら直接特許を侵害するのではなく、購入者に侵害させる、または侵害を可能にする状況が対象です。

APEXの対象になった間接侵害には、次の2つの形があります。

  • 誘発侵害:出品者が説明書、道具、手引きを提供し、それによって顧客が特許を侵害する形で製品を組み立てたり使ったりする。
  • 寄与侵害:出品者が、侵害となる組み立て以外に実質的な用途のない専用部品を販売する。

どちらも出品者が侵害行為を認識していることが条件ですが、その条件を満たせば、間接侵害者は直接侵害者と同じ責任を負います。Harness IPは2026年1月に、同社の弁護士がAPEXの評価者のもとで間接侵害の主張をすでに認めさせたと報告しており、これはこのプログラムで公に記録された初めての勝利です。製品がリバースエンジニアリングされやすい特許権者や、出品者が侵害の最後の工程を購入者自身に行わせる形で一部を複製されかねない特許権者にとって、APEXを実際に使える範囲は大きく広がりました。

MarqVisionはAPEXでHoundsyの特許保護をどう主導したか

Houndsyは、機能的で美しいデザインの犬用給餌製品をつくろうと考えた2人の起業家が創業しました。新鮮な発想と、ファンの声に丁寧に耳を傾ける姿勢で熱心な顧客を獲得し、Kickstarterのキャンペーンは大成功を収めました。

しかし、この成功は新たな問題を招きました。模倣品です。デザインをまねたHoundsyのコピー品がAmazonにあふれ始め、Houndsyの評判と信頼を傷つけ、売上を奪いました。

Houndsyのチームはすばやく動きましたが、従来の模倣品対策は効果がありませんでした。知財侵害に対して通常は非常に効果的な著作権や商標権侵害の申請が、Houndsyのケースでは役に立たなかったのです。

模倣品業者は、商標登録された名前やロゴを盗んでいたわけでも、著作権のあるメディアをコピーしていたわけでもありませんでした。Houndsyのオリジナルデザインによく似た安価な類似品を、通常の知財の権利行使を逃れられる程度にだけ変えてつくっていたのです。

そこでMarqVisionの出番です。

MarqVisionは、HoundsyにAmazonのPatent Evaluation Express(APEX)を紹介しました。それこそが、Houndsyに必要なものでした。APEXによって、Houndsyは著作権や商標による権利行使の限界を乗り越え、米国の実用特許を使ってすばやく対応できました。

「MarqVisionがいなければ、APEXのプログラムを知ることはなかったでしょう。MarqVisionは模倣品の出品を先回りして検知し、従来の著作権のフォーム以上の対応が必要な状況だと判断し、実用特許を活用するプロセス全体を通じて私たちを導いてくれました。」 - Houndsy CEO Pavan Bapu氏

MarqVisionは、フォームの記入、Amazonとのやり取り、フォローアップの管理まで、すべての段階を主導しました。高度なAI技術と専任のサポートチームによって、APEXの手続きは最初から最後まで迷うことなく進みました。

「米国の実用特許をAPEXのプログラムに提出したところ、慎重な審査の結果、模倣品の出品が私たちの特許を侵害していると判断され、すぐに削除されました。これは今後の出品に対する前例にもなりました。特許の有効性を確認できたので、Amazonに現れる今後の模倣品業者もすばやく排除できるようになっています。」 - Houndsy CEO Pavan Bapu氏

結果は明らかでした。Houndsyの特許を明らかに侵害する低品質なコピー品はAmazonのマーケットプレイスから一掃され、Houndsyはいま、制約なくこのプラットフォームで販売できています。

よくある質問

Amazonの出品者が特許を直接コピーせず、侵害する形で組み立てるよう購入者に指示している場合も、APEXで対応できますか。

はい。2026年初めから、APEXは誘発侵害(出品者が購入者を侵害に導く説明書を提供する場合)と寄与侵害(出品者が、侵害以外に実質的な用途のない専用部品を供給する場合)の両方に対応しています。どちらも出品者が侵害行為を認識していることが条件ですが、その条件を満たせば、間接侵害者は直接侵害者と同じ責任を負います。Harness IPは2026年1月に、間接侵害を理由とするAPEXでの勝利を初めて公に報告しました。

ロゴではなく製品デザインをコピーするAmazonの模倣品業者に、商標や著作権による権利行使が通用しない場合はどうなりますか。

Houndsyのケースのように、模倣品業者が登録商標を使ったり著作権のあるメディアをコピーしたりせずに、製品のデザイン、シルエット、機能的な特徴を複製している場合、商標や著作権のもとでは特定できる知財侵害がないため、通常の削除手続きは行き詰まります。その隙間を埋めるのが米国の実用特許です。APEXでは、1つの特許クレームを最大20件の対象ASINに対して主張でき、中立の有資格の特許弁護士が案件を審査します。有利な判断が出れば、Amazonが約10営業日以内に侵害出品を削除します。

Amazonでの侵害案件の解決において、APEXと従来の特許訴訟はどう違いますか。

APEXはほとんどの案件を30日未満で解決し、費用は勝てば返金される$4,000の預託金です。一方、従来の特許訴訟は平均で約2年かかり、返金の保証もないまま数万ドルから数百万ドルの弁護士費用がかかることがあります。その代わり、範囲には制約があります。APEXは一度に1つの特許クレームに限られ、極めて技術的ではない特許を対象としているため、複数のクレームにまたがる複雑な紛争や、Amazonのマーケットプレイス以外にも及ぶ差し止めが必要な案件には、引き続き訴訟が必要です。

APEXには自社で直接申請すべきですか。それともMarqVisionのようなブランド保護パートナーに手続きを主導してもらうべきですか。

Amazon Brand Registryから直接申請することもできますが、侵害ASINの特定、主張する特許クレームの選択、書面の準備、Amazonとのフォローアップの管理を、すべて厳しい期限のなかでこなす必要があります。HoundsyのCEOは、MarqVisionが出品を先回りして検知し、商標や著作権のツールでは対処できない状況だと見抜き、APEXの申請のすべての段階を管理していなければ、このプログラムの存在すら知らなかっただろうと述べています。チームに特許実務の経験がない場合や、侵害を継続的に監視する余力がない場合は、専門のパートナーに任せることで、$4,000の預託金を失いかねない手続き上のミスのリスクを大きく減らせます。

AmazonのAPEXプログラムの対象になるのは、どのような実用特許ですか。

APEXは、わかりやすい製品を対象とする米国の実用特許のためにつくられています。Amazonが「極めて技術的」とみなす特許や、クレーム構成が複雑な特許は、明確に対象外とされています。特許が、明確に定義されたクレームを持つ機能的な製品デザインを対象としているなら、APEXに適している可能性が高いでしょう。知財保護が高度に技術的な方法クレームや多層的なクレームの従属関係に依存している場合は、従来の権利行使の手段や訴訟が必要になるかもしれません。

MarqVisionの継続的な支援とAIを活用したブランド保護によって、Houndsyは今も製品を守り続けています。詳しくは、Houndsyの模倣品対策の事例をご覧ください。Houndsyのデザインは守られ、その未来はより明るいものになっています。

執筆者

Ryan Williams