AI技術とSNSの影響力がもたらした、ファッション・ビューティー業界の模倣品トレンド
ブランドが有名になるほど模倣品が増える時代。AI技術の進歩で模倣品の販売者は何ができるようになったのか、Z世代の模倣品に対する意識の変化はSNSにどんな新しいトレンドをもたらしたのかを解説します。

目次6
2020年代に入り、技術が急速に進歩していることは、皆さんも実感されているはずです。進歩した技術と緻密な戦略が組み合わさり、模倣品産業の現在地を定義する革新的なトレンドが生まれています。今回のMarqVisionブログでは、模倣品産業の主要なトレンドと業界への影響を正面から取り上げ、ブランド保護と模倣品のせめぎ合いが続いている状況について詳しくお話しします。
ファッション・ビューティー業界における模倣品販売の主なトレンド
- 進化するECの出品の構成:詳細ページと主要な文言の変化
- 「パチモン」急増の温床となったソーシャルメディア(SNS)
- Z世代(Gen Z)の「パチモン」に対する意識の変化
- 模倣品へのAI(人工知能)技術の導入
トレンド1:進化するECの出品の構成
詳細ページと主要な文言の変化
ブランドを守るには、継続的な努力が必要です。企業と知的財産(IP)の専門家が緻密な戦略と技術を次々と取り入れていますが、模倣品の製造業者も同じように、より精巧で巧妙になっています。模倣品の製造業者は、より効果的に模倣品を売るために、毎年事業を立て直しています。
特に模倣品の製造業者は、オンラインで模倣品として検知されるのを避け、法的な制裁を受けないことを成長の足がかりにしています。オンラインで模倣品を見つける技術が向上するにつれ、模倣品の製造業者も製品を見つけにくくし、ECやオンラインマーケットプレイスのチャネルから削除されにくくしてきました。
ECプラットフォームから完全に省かれた製品名、商標、主要な製品の文言
模倣品の製造業者は、ファッション・ビューティーブランドの企業が、公式の製品名、商標、主要な製品の文言を手がかりに、オンラインでの模倣品の販売を最も簡単かつすばやく見つけていることを知っています。そのため模倣品の販売者は、公式の製品名、商標、製品写真、主要な製品の文言を使うのを避け、出品や製品の詳細ページでもまったく使わなくなっています。
自分たちで撮影した製品写真だけを使う
画像認識技術がより広く使われるようになったことで、多くの模倣品の販売者が、ブランド自身の製品画像を使わなくなりました。企業がそれを簡単に見つけ、模倣品の販売者だと確認するのに使われるからです。
ブランドのロゴもAI技術で検知できます。図々しい模倣品の販売者により多くの制裁を加えられるようになり、模倣品の販売者が使える画像は限られていきます。ブランド侵害の検知を逃れるため、模倣品の販売者は、販売する製品の写真を自分たちで撮影し、ブランドのロゴを隠すこともよくあります。こうした方法は、人工知能(AI)がロゴを見つけにくくします。
トレンド2:「パチモン」急増の温床となったソーシャルメディア(SNS)
主要な製品の文言や製品画像をなくす戦略によって、模倣品の販売者はより簡単に身を隠し、オンラインマーケットプレイスで製品が削除されるのを避けられるようになりました。
では、模倣品の販売の宣伝はどうしているのでしょうか。制約のある環境のなかで考え出された模倣品の宣伝チャネルが、SNSでした。特にTikTokが積極的に使われ、新たな問題も生まれました。
TikTokの大きなコミュニティのひとつであるRepTokでパチモンの広告が急増し、パチモン製品の広告動画は数十億回の再生を記録しました。TikTokerたちは「dupes」や「reps」といったハッシュタグを使い、パチモン製品を比較したり紹介したりする動画を作って注目を集めました。動画に登場する製品が模倣品であることを公然と明かし、その品質と安さを自慢する内容になっています。
用語の整理
- dupesとは:dupeは「だます、欺く」という意味の単語で、SNSではこのハッシュタグで、似た性能で価格帯の異なる製品を比べたり、偽物と本物を比較したりするコンテンツを見つけられます。
- repsとは:replicate shoesの略で、「靴のコピー品(偽物)」を意味する単語です。パチモンの靴の開封動画や購入品紹介の動画を紹介したり、どこで買ったかの情報がわかったりするコンテンツを見つけられます。
こうした動画の目的は、多くの再生数を得たあとで、公開のGoogleスプレッドシートや、Discord、Snapchat、WhatsAppのような非公開のメッセージプラットフォームにつなぎ、別の販売仲介チャネルへと誘導することです。
誘導先の模倣品の販売仲介業者は、ユーザーをDHgateやPandabuyのようなオンラインマーケットプレイスに案内したり、購入できるようにしたりします。ただし、模倣品の検知を避けるため、オンラインマーケットプレイスの出品は暗号化されています。
MarqVisionのコンテンツ - TikTokのRepTokの現実:模倣品の広告を暴く動画を見る
トレンド3:Z世代(Gen Z)の「パチモン」に対する意識の変化
Z世代(Gen Z)とは、1990年代後半から2010年代前半に生まれた人々を指し、パチモンを独特の形で受け止めています。「dupes」や「reps」という言葉がSNSでよく使われているように、模倣品に対する態度の変化は新しいパラダイムをもたらしました。企業だけでなく、消費者もまた、正規品とブランドの価値を追求する方向へ進むべきだということです。
模倣品に対して感じる身近さは、Z世代の精神を象徴しているといえます。知的財産に関する観念的な常識を含め、確立された規範に疑問を投げかけているのです。INTA(International Trademark Association、国際商標協会)の統計資料によると、 Z世代のなんと79%が、この1年以内にパチモンを購入していました。
Z世代の選択は主に衣料品、靴、電子機器(生活家電)の分野に集中しており、価格の負担が少なく、見た目には人をだませる程度の、もうひとつの選択肢だという認識から始まっていました。
同様の結果を示すEUIPO(European Union Intellectual Property Office、欧州連合知的財産庁)の調査によると、 Z世代の50%以上が、パチモンを買うことは許容できると答えました。これらの統計は、パチモンに対する意識の変化を超えた消費の現実を意味しており、模倣品が単なる市場の問題ではなく、進化する消費者の価値観を反映したブランドの新たな現実であることを示しています。
ブランドがこうした変化する模倣品の販売環境をうまく乗り切ろうとするのと同じように、ブランドの真正性とその意味を保つには、Z世代とパチモンの関係をよく理解することが欠かせません。
類似品(「dupes」)を受け入れることは、製品の真正性と消費に対するひとつの世代の独特なアプローチを反映したものであり、ブランドと消費者、そして進化する市場のトレンドの間に、ダイナミックな相互作用の段階を生み出しています。
トレンド4:模倣品へのAI(人工知能)技術の導入
模倣品産業の最後の主要なトレンドは、AI技術の導入です。AI技術が一般の人々に広く知られ、使われるようになったことで、模倣品の製造業者がオンラインで活動できる能力は大きく向上しました。
偽のレビューの作成

模倣品の販売者にとって、オンラインで好意的なレビューを偽って書いたり、大量に作成してアップロードしたりすることは、さらに簡単になりました。Google BardやChatGPTなどのAI(人工知能)の文章作成ツールを使えば、何千件もの偽の商品レビューを作成できます。
レビューは、消費者が商品を購入する前に、その商品が正規品か偽物かを確かめる最も一般的な方法であり、偽のレビューが水を濁らせることで、正規品を購入することはますます難しくなっています。
AIが生成した画像
AIで生成された製品画像は、今後ブランドにとっての懸念が急増すると予想されています。AI技術がより精巧になるにつれ、Midjourney、DALL-E 3のようなツールを使って、模倣品の販売業者が説得力のある偽の画像を使い、ECプラットフォーム全体で問題を引き起こす一歩手前まで来ています。
いまのところは、無料版で提供される技術では完全な模倣レベルの画像を生成できないうえ、技術的にユーザーがソフトウェアにアクセスできる回数に制限があるため、模倣品の販売者が偽の画像を生成するのは限られています。
しかし私たちはいま、AIで生成された画像が実際に広く出回り始める、その出発点にいます。技術開発の進歩のスピードを考えると、オンラインマーケットプレイスがAI生成の画像であふれるまでに、それほど長い時間はかからないかもしれません。
こうした偽の画像は、人工知能の技術である画像・物体認識ソフトウェアを回避できる可能性があり、人には明らかに不自然に見えても、画像を理解しようとするAIには正確に認識されないことがあります。
バーチャル・仮想インフルエンサー
最も革新的で魅力的なAI技術の産物のひとつで、模倣品産業を変える可能性があります。ブラジルの仮想インフルエンサーであるLu do Magaluは、最も注目すべき例です。新しいデジタルキャラクターたちは、SNSで多くのフォロワーを獲得し、大きな影響力を持つこともあります。
前述のトレンドでは、消費者をだますために仮想インフルエンサーが活用されており、特にZ世代には購入にまでつながる実質的な効果が表れています。こうした仮想インフルエンサーが注目を集めるほど誤解を招く可能性が高まり、消費者への啓発のような、市場に適応したブランド保護の戦略が急務になっています。
模倣品の販売:企業の解決策は
Kコンテンツの人気とともに、ドラマやバラエティ番組で芸能人が着ていた服や使っていた製品が人気を集めていることを実感されているでしょう。自社の製品がある日突然品切れ騒ぎになったら、喜びもつかの間、その先には模倣品との戦いが待っています。
最初は企業の担当者の方が模倣品の販売を自分で探して連絡し、削除を依頼されるでしょうが、そのうち悪質な模倣品の販売者がどんどん増え、変化する手口についていくのも大変になるかもしれません。韓国国内だけでなく海外で模倣品が販売されるのは、いつでも予想外のことだからです。

MarqVisionでは、全4つのステップによって、ブランドの製品の価値を守るプロセスを、より効率的に、簡単に、速く進められます。
- 安定して売れ続けるロング出品者や人気急上昇中のブランドの製品を含むさまざまな製品の画像を細かく分析し、オンラインでの模倣品の販売をすばやく正確に検知します。
- ブランドの模倣品を製造・販売した出品者を排除します。
- MarqVisionの法務チームと知的財産保護の専門スタッフとともに、戦略的にオフラインでの法的措置をとれます。
- 国別、製品別などの総合的な分析とコンサルティングによって、戦略的にブランドを守れます。
企業の代表の方や、ビューティー・ファッションブランドの担当者の方が製品開発と新しいビジネスの成長機会にもっと集中できるよう、MarqVisionは模倣品の販売と企業の損失を可視化できるサービスを提供しています。MarqVisionのAI技術を活用したソリューションについて詳しく知りたい方は、担当者に直接ご相談ください。
