デスクトップクローキング:模倣品業者が堂々と身を隠す手口
模倣品業者がページの表示モードを操作し、ブランド保護チームからレプリカ品を隠す手口を解説します。

デスクトップクローキングは、模倣品業者が使い始めた最新の手口です。顧客には偽物が並ぶウェブサイトを見せながら、ブランドやほかの正当な関係者には、正規の製品が並ぶページや、まったく無害に見えるウェブサイトを見せることができます。
模倣品業者は、機敏さと創造性を何度も証明してきました。偽物を売るためのいまの戦略が効かなくなったとわかると、すぐに適応し、生き残るための新しい方法を見つけます。
彼らの最終的な目標は、知財を盗んでいるブランドからは身を隠しながら、顧客にはわかりやすく簡単に製品を見せることです。そこで登場したのが、じわじわと広がり始めている模倣品の戦略、「デスクトップクローキング」です。
模倣品業者がどうやってこれを実現しているのかを見ていきましょう。
デスクトップクローキングのしくみ
模倣品業者は、なりすましのウェブサイト、いわゆる偽サイトを立ち上げる際、訪問者がモバイル端末からアクセスした場合と、通常のパソコンからアクセスした場合とで、どのバージョンのサイトを見せるかを選べます。
ウェブサイトの構築では多くの場合、この違いは端末ごとにウェブサイトのUXを最適化するため、主にページのコンテンツをさまざまな画面サイズに合わせるために使われます。
しかし模倣品業者は、サイトの表示設定の間で、単なるレイアウトの変更を超えた大きな違いをつけられることに気づきました。これにより、2つのバージョンのウェブサイトで、まったく異なる商品を販売しているように見せられるのです。
では、なぜこの単純な仕掛けがこれほど効果的なのでしょうか。
答えは、こうしたウェブサイトを訪れる人々の行動に大きな違いがあることに、模倣品業者が気づいたからです。
一方で、買い物客は多くの場合、特にSNSの投稿から、スマートフォンでショッピングページにたどり着きます。逆に、プラットフォームであれブランド自身であれ、ブランド保護の仕事をしている人は、ほぼ必ずパソコンで作業しています。
その結果、買い物客は売られている偽物を簡単に見つけられる一方、ブランド保護の取り組みがページに向けられたとたん、偽物は消えてしまうように見えるのです。
デスクトップクローキングの例
MarqVisionが実際に見つけたクローキングされたウェブサイトの例を、トップページの両方のバージョンのスクリーンショットとともに見てみましょう。
最初に見るのは、下に示したモバイル版です。なりすましのウェブサイトに対処したことのあるブランドにとっては、とても見慣れたページのはずです。
このサイトは、ブランドが所有する正規のECサイトに見えるよう、精いっぱい工夫しています。Diorのブランド名やロゴをいくつも使い、いちばん上にはDIORのロゴを配置しています。送料無料のオファーがあり、商品のカテゴリーを閲覧でき、そこから販売中の商品へと進めるようになっています。
例として取り上げたなりすましのウェブサイト。モバイルのページ表示では模倣品が販売されている
ブランド名のないURLやページの書式の乱れなど、目の肥えた買い物客であれば公式のサイトではないと気づく手がかりはありますが、一定数の買い物客に本物のDiorのサイトだと思い込ませるには十分な説得力があります。
上の画像はモバイル表示のバージョンで、購入者向けに作られたページです。次に、まったく同じページがデスクトップ表示でどう見えるかを見てみましょう。
上と同じなりすましのウェブサイト。デスクトップのページ表示では無害に見える
ご覧のとおり、サイトはまったく違って見えます。Diorの知的財産を侵害するロゴやブランド名の使用はなくなり、販売されていた衣料品まで消えています。代わりにサイトでは、プラスチック製の観葉植物が販売されています。警戒すべき点は何もありません。
ブランドはデスクトップクローキングからどう身を守れるのか
この戦略は、ブランドにとって新たな頭痛の種です。まず検知の段階では、なりすましの可能性があるウェブサイトを探し、知財侵害がないか確認する際に、こうしてクローキングされたウェブサイトを網から漏らしてしまいやすくなります。
同様に、権利行使の段階でも、モバイルで確認した詐欺的なウェブサイトを申請しても、却下されることがあります。コンテンツ管理システムなど、相手側の審査担当者がデスクトップで確認すると、ウェブサイトに問題が見当たらないかもしれないからです。
では、ブランドはこの最新のハードルをどう乗り越えればよいのでしょうか。
より深い調査
なりすましの可能性があるウェブサイトを評価する際には、「両方の表示で確認するプロセス」を取り入れることが欠かせなくなっています。デスクトップとモバイルの両方の表示を習慣的に確認することで、ブランド保護チームはコンテンツの食い違いを見つけ、クローキングのケースをより効率的に特定できます。
今後も、模倣品業者は間違いなく、活動を隠す新しい方法を探し続けるでしょう。ブランド保護の専門家は、この最新の戦略だけでなく、新たに現れるあらゆる戦略に注意を払う必要があります。
顧客からの通報を促す
デスクトップクローキングやそのほかの戦略に対抗するために、疑わしいウェブサイトをブランドに通報するよう顧客に呼びかけ、ブランドの顧客基盤の力を活用することを検討しましょう。
模倣品にともなうリスクについて消費者を啓発し、デスクトップクローキングの可能性がある事例の見分け方をわかりやすく伝えることで、ブランドは注意深い消費者のネットワークを動かせます。ロイヤルな顧客に、ブランドから感謝のしるしを贈るなら、なおさら効果的です。
スクリーンショットと記録
デスクトップクローキングの事例に出会ったら、ブランドは記録のプロセスの一環として、デスクトップとモバイルの両方の表示のスクリーンショットを撮っておくべきです。こうしたスクリーンショットは、Cloudflareなどのプラットフォームや関係当局に侵害ウェブサイトを申請する際の貴重な証拠になります。
2つの表示の食い違いを視覚的な記録として示すことで、ブランドは、模倣品業者がどのようにオンラインでの見せ方を操作して知的財産権を侵害しているのかを効果的に説明できます。
さらに、ウェブサイトがどのように知財の保護に違反しているのかを詳しく説明すれば、模倣品業者に対する迅速な措置を求めるブランドの主張は常に強くなり、デスクトップクローキングされたサイトに直面したときには特に効果を発揮します。
