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EUのデジタルサービス法がブランド保護に与える影響

デジタルサービス法が施行され、オンライン上でブランドを守るために使われるツールに、さまざまな有益な改善がもたらされました。

Ryan Williams4分で読めます
目次2
  1. デジタルサービス法には何が含まれているか
  2. DSAはいつ施行されるのか

デジタルサービス法(DSA)は、オンライン空間での特定の有害な活動、すなわち違法なコンテンツと偽情報に対処することを目的とした、欧州連合の新しい規則です。

デジタルサービスを規律する規制の枠組みを近代化することを目的に制定されたDSAは、デジタル領域における透明性、説明責任、ユーザーの安全を促進するための包括的な措置を導入しています。

オンライン空間での知財侵害への対策に取り組むブランドオーナーや専門家にとって、DSAの影響を理解することはきわめて重要です。DSAをよく知ることで、ブランドオーナーは変化するデジタル環境にうまく対応し、知的財産の利益を効果的に守れます。

この記事では、違法なコンテンツに迅速に対処するための先回りと事後の両面のコンテンツモデレーションの義務、オンラインプラットフォームに侵害している出品者を追跡・審査することを求める要件、申し立ての件数と処理結果を詳しく示す透明性レポートの公表など、DSAの主な規定を見ていきます。

デジタルサービス法には何が含まれているか

DSAは有害な行為に関するさまざまな問題を是正しようとしているため、多くの内容が含まれています。

ブランド向けの要点:

  • マーケットプレイスや検索エンジンなどのオンラインサービスのプラットフォームは、先回りと事後の両面のコンテンツモデレーションを導入する必要があります。
  • 法執行機関や信頼できる報告者(トラステッド・フラッガー)からの知財侵害に対する申し立ては、効率化される必要があります。
  • プラットフォームは、今後の権利行使を容易にするために、常習的な侵害者を追跡する必要もあります。
  • プラットフォームは、知財保護の指標について、より透明性の高いレポートを提供する必要もあります

今後ブランドと知的財産を守ろうとする企業に影響する、主な変化を見ていきましょう。

侵害コンテンツのモデレーションの強化

DSAは、違法なコンテンツを対象とした先回りと事後の両面のコンテンツモデレーションのプロセスの導入を義務づけています。法執行機関や信頼できる報告者からのリクエストを優先し、侵害の申し立ての提出を効率化することを目指しています。

信頼できる報告者(トラステッド・フラッガー)とは、DSAのもとで、違法または有害なコンテンツを報告することをオンラインプラットフォームや当局から認められた、信頼のおける組織を指します。こうした指定された報告者は問題のあるコンテンツを特定する能力について信頼されており、その報告はプラットフォームによって優先的に審査されます。法執行機関、政府機関、NGO、あるいはオンラインコンテンツの問題の特定と対処に専門性を持つその他の認められた組織が含まれます。

さらにDSAは、プラットフォームのユーザーにコンテンツモデレーションの決定に異議を申し立てる権利を与えており、プラットフォームはコンテンツを削除した際にユーザーに情報を提供する義務を負います。DSAのこの側面は、コンテンツの削除の精度を高め、誤検知の発生を減らす可能性があり、ブランド保護の取り組みを後押しします。

常習的な違反者の追跡

DSAの重要な規定のひとつが、プラットフォームに侵害している出品者を追跡することを求める要件です。これは、知財侵害に対抗しようとするブランドオーナーにとって特に有益です。

これまでブランド保護は、アカウントや不正なWebサイトが削除された後にすぐにオンラインプラットフォームに再び現れる常習的な侵害者への対処に大きな課題を抱えてきました。こうした侵害者は多くの場合、プラットフォームの取り締まりの隙につけ込み、販売の手口を少し変えて、すぐには検知されないようにしています。

プラットフォームに出品者を体系的に追跡・審査することを義務づけることで、DSAはこの侵害のサイクルを断ち切ることを目指しており、知財侵害で排除された常習的な侵害者がプラットフォームに戻ってくることを格段に難しくします。

これはブランド保護の取り組みの効果を高めるだけでなく、常習的な侵害行為を抑止し、消費者にとってより安全な環境を促進することで、デジタルマーケットプレイス全体の健全性を強化します。

データの透明性

DSAは、プラットフォームに透明性レポートの公表を義務づけ、申し立ての件数、侵害の種類、処理結果などの指標について詳しい情報を提供させます。

この透明性によって、ブランドオーナーはデジタルプラットフォーム全体での知財侵害の広がりと性質をより明確に理解できるようになります。

このデータを手にしたブランド保護チームは、侵害の発生が最も多い領域や新たなトレンドに焦点を当てて、取り組みの優先順位をより効果的につけることができます。

さらに、透明性レポートの公表は、プラットフォームが導入したコンテンツモデレーションの措置の効果をベンチマークし、評価するための貴重なツールになります。これらのレポートで明らかになった傾向やパターンを分析することで、ブランドオーナーは戦略を改善し、プラットフォームとより効率的に連携して、知財侵害に迅速かつ断固として対処できます。

DSA違反に対する制裁

DSAは、違反に対して厳しい制裁を導入しており、全世界の年間売上高の最大6%の罰金が科されます。これはきわめて大きな金銭的な動機となり、オンラインマーケットプレイスや検索エンジンなどのオンラインサービス事業者に、DSAの規則の遵守を優先させます。

ブランドオーナーにとって、この規定は、EUが知的財産権の行使についてプラットフォームに責任を負わせ、安全なデジタル環境を維持することに本気で取り組んでいることを示しています。

多額の罰金のおそれは、プラットフォームに強固なコンテンツモデレーションの措置を導入させ、知財侵害に迅速に対処させる動機となり、模倣品や商標の無断使用の広がりを減らします。

DSAはいつ施行されるのか

DSAは2024年2月17日に全面施行され、欧州連合全体で新しい規則の運用が始まりました。

DSAは2023年8月に限定的に施行され、超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)と超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)にのみ適用されていました。しかし現在、DSAの適用範囲はEUのすべての事業者に広がっています。

この拡大はブランド保護にとって大きな前進です。あらゆる規模のプラットフォームがDSAの規定の対象となったことで、オンライン空間で事業を行う組織にとって、これらの規則を理解し遵守することの重要性が増しています。

執筆者

Ryan Williams