ブランドの知らないところで起きていること:非公式な出品者が価格の主導権を握る瞬間
271兆ウォン規模の韓国EC市場で、非公式な出品者がブランドの価格政策を崩す構造を分析します。アイテムウィナーの奪取・海外からの並行輸入・無断流通の経路と、ブランドのチャネルを守る戦略をまとめました。

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2026年、ECにおける並行輸入の現状:非公式な出品者が価格の主導権を握る瞬間

「NAVERスマートストアで、うちの製品が公式価格より30%安く売られているのに、出品者が誰なのかわかりません」
「Coupangでアイテムウィナーを奪われ続けているのですが、単なる価格競争の問題なのでしょうか」
こうした状況に覚えがあるなら、ブランドはすでに並行輸入(Gray Market)による流通の問題を抱えている可能性が高いでしょう。
ブランドは広告とマーケティングに投資して需要をつくるのに、実際の販売収益は非公式な出品者が持っていく。そんな構造が、韓国のEC市場で急速に広がっています。特にCoupang・NAVERスマートストア・11番街のようなマーケットプレイス中心の流通構造では、ブランドの知らないところで、非公式な出品者が価格の主導権と商品の露出まで握ってしまうことが繰り返されています。
いまや問題は、単なる「安売り」ではありません。並行輸入による流通は、ブランドの価格政策、公式の流通網、消費者の信頼までを同時に揺るがす構造的なリスクになりつつあります。
並行輸入とは:ブランドが投資した市場を、非公式な出品者が収益化する構造

並行輸入(Gray Market)は、模倣品とは違います。本物でありながら、ブランドの公式の流通網を通らずに販売される製品の流通構造を指します。海外からの並行輸入、転売、承認されていない卸売の経路を通じてECプラットフォームに流れ込んだ製品が、これにあたります。つまり、製品そのものは正規品でも、ブランドが承認していない経路でECプラットフォームに入ってくるのです。
韓国のEC市場は、2025年に271兆ウォン規模(統計庁)にまで成長しました。同時に、並行輸入も急速に広がっています。OECD・EUIPOが2025年に発表した報告書によると、世界の模倣品・海賊版の取引規模は4,670億ドルで、世界貿易の2.3%を占めています。並行輸入による流通まで含めれば、ブランドの実際の被害規模ははるかに大きくなります。
ブランドにとってより危険な理由は、ほかにあります。並行輸入品は「本物」であるため、プラットフォームが自動で遮断しないのです。結局、非公式な出品者を検知して対応する責任は、ブランドが自ら負うことになります。
非公式な出品者がECチャネルに入り込む3つの経路

非公式な出品者は、ブランドのコントロールから外れたさまざまな経路で製品を確保し、プラットフォームに入り込みます。
① 並行輸入:海外の安価な在庫が韓国のECに流れ込む構造
非公式な出品者は、海外で安く確保した製品を韓国のプラットフォームで転売します。特にCoupang・NAVERでは、公式の販売価格より15〜40%安い価格で出品されるケースが頻繁に起きています。さらに、ラグジュアリー・プレミアムのカテゴリーでは最大45%引きのケースも確認されています。
問題は単なる価格差ではありません。保管環境を検証できない、賞味・使用期限の管理が不十分、アフターサービスを受けられない、国によって仕様が違うなど、同じ製品でも消費者の体験は大きく変わりえます。しかし、消費者はそれをブランドの問題として受け止めます。
② 転売:ブランドがつくった需要を転売業者が収益化する構造
公式ストアでセール価格の製品や大容量のセット製品を購入して小分けにして転売したり、大量に仕入れて投げ売りしたりする手口です。ブランドが広告とキャンペーンでつくった需要が、非公式な出品者の収益に変わる最も直接的な構造です。特にプロモーションの期間後に特定の出品者が繰り返し最安値をつけているなら、ブランドは非公式な出品者への対応策をすぐに検討すべき可能性が高いでしょう。
③ 無承認の卸による再流通:公式パートナーが契約を逸脱する構造
ブランドの公式の流通パートナーが、契約の範囲を超えて第三者に再販売するケースです。この場合、ブランドは価格コントロールの失敗、流通経路の追跡不能、非公式な出品者の増加、MAPポリシーの無力化といった問題を同時に抱えることになります。特にチャネルの契約管理が緩いほど、並行輸入が広がるスピードは速くなります。
アイテムウィナーの奪取:ブランドが露出で押し負ける構造

Coupangのアイテムウィナー(Item Winner)とは、同じ商品を販売する出品者のうち、最安値・配送・購入条件が最も有利な出品者を代表として表示する仕組みです。問題は、非公式な出品者が公式の販売価格より安い価格で商品を出品した瞬間に起きます。アイテムウィナーが自動で非公式な出品者に移ることで、ブランドの公式ストアの露出が急激に減ってしまうのです。結局、消費者はブランドの公式販売店ではなく、非公式な出品者の商品を先に目にすることになります。
2026年5月時点で、Coupangの月間アクティブユーザー(MAU)は3,440万人です。ブランドにとっては、大規模な顧客接点が非公式な出品者に渡ってしまうことになります。この問題は単なる価格競争ではありません。ブランドが投資した広告費とマーケティングの効果が、結局は非公式な出品者の販売を助けてしまう構造的な問題なのです。
並行輸入がブランドに残す3つの被害
並行輸入による流通の被害はひとつではありません。3つの方向から同時にブランドを圧迫します。
① 価格政策の崩壊:MAPポリシーが骨抜きになる瞬間
非公式な出品者の安い出品がプラットフォームに表示されると、公式の流通パートナーも値下げの圧力を受けます。この瞬間、ブランドが設定したMAP(最低広告価格)ポリシーは事実上無力化されます。ブランドの価格政策を管理する方法がきちんと構築されていなければ、長期的にはブランド価値そのものが揺らいでいきます。
② 公式パートナーからの信頼低下
「なぜ公式ストアより非公式な出品者のほうが安く売っているのですか」。こうした状況が繰り返されると、公式パートナーの不満はあっという間に大きくなります。結局、公式パートナーの離脱、契約の再交渉の圧力、流通網の弱体化、チャネル運営コストの増加といった問題につながります。
③ 損なわれる消費者の信頼
並行輸入品の保管不良、期限の問題、アフターサービスを受けられないことなど、非公式なチャネルで購入した消費者の不満は、ブランドの公式カスタマーサポートとレビューに返ってきます。結局、ブランドがコントロールできなかった流通が、ブランドの評判まで傷つける結果につながるのです。
ブランドが管理すべきは、「販売量」ではなく「流通のコントロール」です

かつては販売量の拡大が中心的なKPIでしたが、いまでは流通のコントロール(Channel Control)がブランドの競争力になりつつあります。
特にマーケットプレイス中心のEC環境では、次の問いにすぐ答えられなければなりません。
- いま、非公式な出品者は何件活動しているか
- どのプラットフォームで価格の崩壊が始まったか
- どの出品者がアイテムウィナーを繰り返し奪っているか
- 公式の流通網の外で、製品はどこへ流出しているか
この流れをリアルタイムで見られなければ、ブランドはすでに対応が遅れている可能性が高いでしょう。
MarqVisionが提案する、並行輸入への対応戦略
並行輸入の問題は、プラットフォームが代わりに解決してくれるものではありません。ブランドが自ら、検知・分析・対応の体制を構築しなければなりません。
1. 非公式な出品者の常時監視:Coupang・NAVER・11番街などの主要なプラットフォームで、ブランド名・製品名をもとに承認されていない出品を継続的に追跡する必要があります。自動化なしに対応していると、被害に気づいたときには、すでに販売が広がったあとであることが少なくありません。
2. 出品者と価格の流れのリアルタイム分析:ブランドは単なる価格モニタリングではなく、価格の急落のパターン、アイテムウィナーの変更履歴、繰り返し現れる出品者、異常な販売の流れ、プラットフォーム間の価格差までをあわせて追跡しなければなりません。Marq AIは出品者と価格のデータをリアルタイムで分析し、異常な流通のパターンと並行輸入の流れを検知します。また、ブランドインテリジェンスをもとに、累積の損失規模や非公式なチャネルへの需要の流れまで可視化して提供します。
3. 知的財産にもとづく出品の削除の自動化:商標権にもとづいてプラットフォームへの申請と出品の削除を自動化すれば、対応にかかる時間を大きく縮められます。並行輸入への対応は、結局のところスピードの問題です。検知から削除までの時間が短いほど、ブランドの被害の範囲も小さくなります。
4. 公式の流通パートナーとの契約管理の強化:認可された流通パートナーが価格政策を守っているかを継続的に監視し、再流通が起きたときにすぐ対応できる体制が必要です。流通契約は、締結よりも「運用の管理」のほうが重要です。
ブランドが投資して生んだ需要を、非公式な出品者に奪われているとしたら

いま、ブランドのECチャネルで活動している非公式な出品者の数を正確に把握できていますか。
もしすぐに答えられないなら、いまこそ点検を始めるべきときです。MarqVisionは、非公式な出品者の検知から価格の流れの分析、出品の削除、チャネルの需要のコントロールまで、ブランドインテリジェンスにもとづく並行輸入への対応体制を提供しています。
📣 無料デモを申し込む — ブランドが投資したマーケティングの需要が、非公式な出品者の売上に変わっていないかを確認してください。リアルタイムのデモで、現在のECチャネルにおける並行輸入の状況を実際にご確認いただけます。
よくあるご質問|ブランドの知らないところで起きていること:非公式な出品者が価格の主導権を握る瞬間

Q1. 並行輸入と模倣品の違いは何ですか。
並行輸入は、本物の製品がブランドの公式の流通網の外で販売される構造です。一方、模倣品はブランドをまねた偽物です。並行輸入品は正規品であるため、プラットフォームが自動で遮断しないことが多くあります。
Q2. Coupangのアイテムウィナーは、どのように決まるのですか。
Coupangのアイテムウィナーは、価格、配送スピード、購入条件、顧客体験などの要素をもとに自動で選ばれます。非公式な出品者が公式販売店より安い価格で販売すると、アイテムウィナーを奪う可能性が高くなります。
Q3. ブランドは非公式な出品者を止められますか。
はい。ブランドは、商標権にもとづく申請、MAPポリシーの運用、ECでの無認可の出品者の監視、流通契約の管理などを通じて、非公式な出品者への対応体制を構築できます。
この記事は「ブランドの知らないところで起きていること」シリーズの第2回です。来週公開の次回もお見逃しなく。
- 第1回:ブランドの広告費がフィッシングの収益になるまで、ブランドなりすまし・フィッシングの実態はこちら
- 第2回:非公式な出品者がブランドの価格の主導権を握る瞬間(本記事)
- 第3回:マーケットプレイスが模倣品を自動で防いでくれない理由
